知っておきたい弓道用語まとめ
弓道では用具の名前や実技用語などで、専門的な言葉遣いや名称が多々あります。弓道に関連する動作一つ一つにも独特な名称がついており、弓道初心者では読み方もわかりにくいものばかりです。教本は当然弓道用語で書かれており、読み方や意味を知らないと理解するのが大変です。弓道を始めるにあたっては、基本的な動作を学ぶのと同様に用語も覚える必要があります。ここでは絶対に知っておきたい弓道用語をまとめてご紹介します。
稽古時によく使う実技用語
実技で使われる名称や用語をまとめました。動きを学ぶ際に必要になるので、ぜひ早めに覚えておくことをおすすめします。
・射手(いて)
弓を射る人のことをいいます。
・大前(おおまえ)
複数人で射を行う際、各組での一番前の射手のことをいいます。2番以降の射手は、大前の動きに合わせて行射します。
・押手(おしで)
左手のこと。「弓手(ゆんで)」ともいいます。
・落(おち)
複数人で射を行う際、各組での一番最後の射手のことをいいます。「大後」と書く場合もあります。
・勝手(かって)
右手のこと。「馬手(めて)」ともいいます。
・跪坐(きざ)
つま先を立てた正座の状態です。膝頭を床につけ、かかとの上にお尻を乗せて座ります。
・行射(ぎょうしゃ)
矢を射ること、射を行うことを指します。
・近的(きんてき)
直径36センチの的を28メートルの距離に置く、弓道競技種目の一つ。的中制と採点制があります。
・坐射(ざしゃ)
立って射位に進み、跪坐して矢を番え、立って射ることをいいます。
・射位(しゃい)
射を行うとき、射手が立つ位置のこと。
・順立(じゅんだち)
複数人で行射するとき、1番の射手(大前)から順次後ろへ1本ずつ矢を射ることをいいます。最後の人(落)が行射を終えたら、順番は大前へ戻ります。
・素引き(すびき)
矢を番えずに弓を引くこと。
・蹲踞(そんきょ)
つま先を立て、膝頭を床につけないよう座った状態です。
・執り弓の姿勢(とりゆみのしせい)
正しい形で弓と矢を持った姿勢のこと。弓を左手、矢を右手に持ち、両拳を腰につけ両足を揃えて立った形です。
・筈こぼれ(はずこぼれ)
矢を番えた後、離れの前に矢が弦からはずれること。「矢こぼれ」ともいいます。
・早気(はやけ)
「会」の状態を十分に維持しないうちに矢が離れること。また、「会」に入る前に離れること。
・半月の狙い(はんげつのねらい)
的を狙う際、弓の左側に的の半分が見える状態のこと。的の見え方によって、「有明」「新月」などの呼び方があります。
・べた押(べたおし)
手の内で強く弓を握りすぎて手首が折れ、手のひらで弓を押すことをいいます。べた押しになっていると弓返りがうまくできないため、手の内を改善する必要があります。
・弓返り(ゆがえり)
矢が離れるとき、弦が左手の甲側へ回転することをいいます。正しい手の内によって、自然に回転が起こります。
・立射(りっしゃ)
立って射位に進み、立ったまま矢を番えて射を行うこと。
段位審査でも役立つ、道具用語
弓道では古くから使われる道具用語が少なくありません。弓道の世界では当たり前に使われるので、道具用語も早いうちに知っておくと安心です。
・垜 / 安土(あづち)
的をかける場所のこと。赤土、黒土、川砂を混ぜたものを山形に盛って築かれます。経年劣化や、的から外れた矢が刺さることで崩れてくるので、定期的な手入れ・改修が必要です。
・末弭(うらはず)
弓の上の先のこと。「上弭(うわはず)」ともいいます。
・替弦(かえづる)
予備の弦のこと。不測の事態に備えて、初心者でも替え弦を用意しておくと安心です。
・替矢(かえや)
予備の矢のこと。予備矢ともいいます。
・弽(かけ/ゆがけ)
弦から右手親指を保護するためにはめる鹿革製の手袋のこと。
・ぎり粉(ぎりこ)
松脂(まつやに)から作られている、すべり止めに使う粉。弽の親指に使います。
・天鼠・薬煉(くすね)
弦の補強や接着剤に使うもの。松脂と油を混ぜて作られています。
・下がけ(したがけ)
弽の下に着ける、布製の手袋のこと。洗い替え用に複数枚あると便利です。
・道着(どうぎ)
弓道の鍛錬時に着る筒袖の衣服のこと。脇部分が開いているのが男性用、閉まっているのが女性用とされていますが、どちらを着用するかは自由です。
・掃き矢(はきや)
安土に刺さらず矢道に落ちた矢のこと。
・筆粉(ふでこ)
弓手に使うすべり止め用の粉。手の内が汗で滑らないように使います。
・本弭(ほんはず)
弓の下の先のこと。「下弭(しもはず)」ともいいます。
・巻藁(まきわら)
練習用の、藁束を巻いて作られた的のこと。
・三つ弽(みつがけ)
指の数が3本ある弽。
・胸当て(むねあて)
弦から胸を保護するために使うもの。衣服の巻き込みを防ぐために使われることもあります。主に女性が使うことが多いですが、普段着で行射するときなどは男性も使います。
・矢尺(やじゃく)
矢の長さのこと。矢尺は矢束プラス10センチほどが目安です。
・矢束(やづか)
喉の中心から左手指先までの長さ。矢束の長さは人によって異なります。矢を購入する際は、必ず矢束を測ってもらいます。
・矢筒(やづつ)
矢を入れる筒状の入れ物。
・弓袋(ゆぶくろ)
弓を入れる袋の収納道具。
・弓巻(ゆまき)
弓に巻きつけて使う帯状の収納道具。
・弓立て(ゆみたて)
倒れて破損しないよう、弓を立てて置くための器具です。大型のものから、持ち運びできるコンパクトなものまであります。壁に取り付けるタイプもあります。
まとめ
弓道用語は一見難しいものが多く見えますが、日常生活や慣用句で目にする機会の多い単語も含まれています。身近な単語が実は弓道用語だった、ということも少なくないので、楽しみながら勉強できるのではないでしょうか。用語の中には古来よりの読み方をするものもあり、現代語と異なる読みがあるので注意が必要です。また、段位審査では筆記試験が課せられ、弓道用語を自筆で書く機会も出てきます。読みだけでなく書きもしっかり覚えるようにしましょう。